大判例

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東京高等裁判所 昭和27年(う)3614号 判決

よつて審究するに、被告人が昭和二十三年九月三十日東京地方裁判所において懲役一年、執行猶予三年の刑に処せられ、同判決が同年十月八日確定したことは被告人に対する前科調書により明らかであり、而して原審が右窃盗と本件強盗とは刑法第四十五条後段の併合罪であるとして同法第五十条により、まだ裁判を経ない本件強盗につき処断したこともまた原判決書記載自体により明らかである。そして、被告人の右窃盗の前科が本件強盗の言渡日である昭和二十七年八月十三日前に執行猶予期間が経過し同法第二十七条によりその言渡が効力を失つたことは所論の通りである。そうだとすれば、原審が右窃盗罪の刑の言渡がその効力を存続するものとして、之と本件強盗との間に同法第四十五条後段第五十条を適用して処断したことは、法令の適用を誤つたものといわなければならぬ。

しかし乍ら同法第四十五条後段の併合罪の規定は、或る罪に付確定判決があるときは、その裁判の確定時を標準として、その前後に存する各一団の行為は夫々別個の併合罪を構成する(かくて主文が二つになる)と云う点に、意義が存するのであり、裁判確定前の罪に付裁判するに当つては、之と確定裁判を経た罪との関係に於て、併合罪の加重をすることは法の要求しないところであり、唯単に、同法第五十条により、まだ裁判を経ない罪に付処断しさえすればよいのである。原判決に於ても本件強盗に付併合罪の加重をした事跡は、たえて存しないのである。

してみれば、原審が本件に付同法第四十五条後段、第五十条を適用したのは法令の適用を誤つたものではあるが、その誤が判決に明らかに影響を及ぼしたとは考えられないのである。

所論は採用し難く、論旨は結局理由がない。

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